歯科医師の宇土です。
だんだん暖かくなってきましたね。そろそろ衣替えを考えないとですね。
小学校などでは、歯科検診が始まってくる時期ですね。検診の紙には歯が何本あるかと記入してある紙もああります。意外に知らない方もいらっしゃるかと思いますが、
乳歯(子供の歯)は、生後6カ月頃から生え始め、3歳頃までに
全部で20本が生え揃います。
永久歯(大人の歯)は28本、親知らずを入れると32本です。
歯列の真ん中に前歯が左右に2本ずつ、上下あわせ
て8本あります。その奥には乳犬歯が上下左右あわ
せて4本、さらにその奥には乳臼歯が左右2本ずつ
で、上下あわせて8本になります。
乳歯(子供の歯) は、永久歯(大人の歯)に比べ表面のエナメル質が弱いため、虫歯の進行が速いという特徴があり、乳歯の虫歯を放っておくとその下に待機する永久歯にも悪影響を与えてしまいます。そのために、しっかりとケアすることが大切です。
思春期以降、この奥に一番遅く生えてくる第三大臼歯、つまり親知らずがある場合はプラス4本になります。
入れ歯にならないために永久歯をもっと大事にすることが大切です。
実は、ニホンザルやチンパンジーにも乳歯と永久歯があるが、生まれたばかりの子供は顎が小さいので、そこに大きな歯は収まりません。そのため、まず、小さな顎のサイズに合った乳歯が生えてきます。そして、子供の顎は成長とともに、急速に大きくなります。20本以上乳歯は歯ぐきから生えていますが、すでに生えてしまった歯はそれ以上ほとんど大きさが変わらないので、顎の成長の速さには追いつけません。仮に、顎が成長しても乳歯のまま歯が生え変わらなければ、歯と歯の間に大きなすき間ができてしまいます。
そこで、子供サイズの乳歯が一度抜けることによって、歯ぐきの奥で最初から大人用サイズとして作られた永久歯が抜けた乳歯の後から生えてくるという仕組みになっているのです。
最終的に人の歯は、顎の成長に合わせた仕組みです。
歯は生え替わるといえ、子供の歯を絶対に虫歯にさせないために知っておきたいことは、歯垢(プラーク)をつけないことです。
歯の表面は、タンパクの膜で覆われています。
タンパク質を好むいくつかの細菌が、タンパク質の
膜を介して歯の表面に付着して菌の集合体をつくり始めます。その中に、虫歯の原因となるミュータンス菌が含まれています。
長時間磨いていない歯の表面を爪やつまようじで掻き落とすと、ネバネバしたノリやチーズのような歯垢(プラーク)が取れます。この歯垢の中のミュータンス菌が、食べかすを元にして糖分を分解し、酸や毒素をつくり出します。その酸は、エナメル質を溶かして穴をつくり始めます。
そして歯の表面が、チョークのように白く濁ってきたら、虫歯の始まりです。ちなみにプラークの蓄積は、歯ぐきの炎症も引き起こします。歯ぐきが赤く腫れたり、歯ブラシを使うと出血を
起こします。
虫歯が自然に治ることはありません。しかし、常に手入れをしっかりしておけば進行は抑えられます。進行してしまった場合は、治療が必要ですので日々のケアがとても大切です。
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